穴があったらこもりたい

綾辻行人『Another(上下巻)』感想

ホラー苦手とか言いつつ、またまたホラーです。
Anotherは学生時代に本好きの先生に貸してもらって、あらすじ読まなかったので
途中でホラーだと気づいたという…そんな思い出がある小説です。

なので前回と違って自ら首突っ込んでない、気づけばホラー(?)
不可抗力読了(??)ハンバーグの中にピーマン(???)です。

それでも結局面白くて、今また読み返したぐらいなので、
怖がりさんにもおすすめです。

(にしても最近あんまり本読めないわ、感想書いてないわで、文章力がた落ちしてる気がする…やべ…)

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フリー写真素材ぱくたそ

夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい何が起きているのか!?いまだかつてない恐怖と謎が読者を魅了する。名手・綾辻行人の新たな代表作となった長編本格ホラー。
(「BOOK」データベースより引用)

 奇妙な「二人だけの孤独と自由」を過ごす中で、恒一と鳴、二人の距離は徐々に縮まっていく。第二図書室の司書・千曳の協力を得つつ、“現象”の謎を探りはじめるが、核心に迫ることができないままに残酷な“死”の連鎖はつづく…。夏休みに入ったある日、発見させる一本の古いカセットテープ。そこに記録されていた恐ろしき事実とは!?―ゼロ年代の掉尾を飾った長編本格ホラー、驚愕と感動の完結巻。
(「BOOK」データベースより引用)

内容

完全に学園ホラーです。あらすじちゃんと見てたら読んでませんでしたね。
さらに上下巻に分かれていて、結構なボリュームです。

それでも文章はとても読みやすく、
ホラーだけど、ミステリー?謎解き?要素があって、
本当にあっという間に読んでしまいました。

ここから上巻下巻ごとに、感想を書いていきます。

 

上巻の感想

上巻の感想を一言でいうと「なぜ?」です。

Anotherは最後まで、徹底して主人公の恒一君目線で話が進むので、
当たり前ですが自分たち読者も、恒一君と同じ情報しか入ってこないんですよね。

なので、クラスのこわばった雰囲気(いじめとかじゃなく)の違和感や、
あと、クラスメイトの謎の多い美少女、ミサキ・メイに、なぜか惹かれる恒一君が、
彼女にしつこく話しかけようとするときの、クラスメイトの言動、

恒一君を揺さぶって、早くどういうことか聞いてくれ!!って言いたくなるぐらい、
クラスメイトもメイちゃんも、意味深で謎が多いです。

そんな中、クラス委員の桜木さんが、凄惨な事故死。

これでもかと謎や伏線が張り巡らされていて、色々疑いだしたらきりがなく、
もしかしたら、上巻はもやもやしてしまうかもしれませんが、
ぜひ下巻までもやもやしつつ、読んでほしいです。

 

下巻の感想

下巻に入ると、上巻の謎が次々と明かされていきます。
ホラーなのにスカッとするぐらい。

しかし謎がわかっても、問題が解決するわけではなく。

上巻ではわからないことが多かったのに対して、下巻では色々と明るみになるものの、
そこからどうするか、という話になっていきます。

次々と3年3組にかかわる人が死んでいく中、それをどうやって止めるか、
そもそもこの”現象”は、呪いなのか……

私なんかは推理力が無いので、片っ端から疑ってたのですが……
ラストは結構衝撃でした。

 

ホラー、推理以外でよかったところ

理不尽な”現象”の恐怖も、それをどう止めるかという謎解きも面白いのですが、
良いなぁと思ったところが、他にもありまして…

この小説は全体的にどこかノスタルジックな雰囲気なのですが、
特に物語の途中に出てくる、球体関節人形のお店がとても良い雰囲気です。
地下の場面ではこちらまで息苦しくなってくるけれど……

他には、恒一君とメイちゃんが、わけあって二人で行動する場面があるのですが、
そこが微笑ましいというか…まぁ問題は解決してないんだけど、
つかの間の二人だけの青春って感じで良かったです。

あ、あと、図書室の司書、千曳さんも良いキャラクターです。
ああいう普段の授業とかでは出会うことがない、図書室の先生とか保健室の先生って、
なんか良い意味で先生っぽくない人が多くていいよね。

 

まとめ

ホラー苦手だったのに、読み始めてしまうと続きが気になって仕方なく、
あっという間に読んでしまいました。

あと、怖い(グロい?)場面も、わりと淡々と書かれているので、
そこも私は読みやすくて良かったです。

……それにしても、”現象”の仕組みはなんとなくわかったけど、
理由がわからないのって、めちゃ怖いですね。

 

おまけ(ちょっとネタバレ)

前回読んだばっかりのせいかもしれませんが……

AnotherとIT、ちょっっっとだけ共通点がある気がするんですよね……
なのでおまけとして、思うところをいくつか書こうかなと思います。

 

①恒一君がスティーヴン・キング好きの、ホラー少年です。
ITは出てこないけど、呪われた町とかペット・セマタリーとか出てきます。

②26年前の発端の怪異。ITでは27年周期で怪異が起こります。

③Anotherでは”現象”に関することは、だんだんと忘れるか、改変されます。
ITも同じく、怪異に関わることは忘れていきます。
そうなると、千曳さんとマイクの立場もちょっとだけ似てるような気も……

 

あとは、喘息の薬とか出てくるのも……ってこれは言い過ぎかもしれませんが。
もし気になる方がいれば、ITもおすすめですよー!

l84blog.hatenablog.com

 

…………今「Another スティーヴンキング」でググってたら、
AnotherとITの共通点をめっちゃ詳しく書いてる記事がありました。嬉しい。
私の感想は今すぐ忘れてもらって、ぜひこっち見てください。面白いです。

「Another」もキングの影響を!? その2: スティーヴン・キング研究序説 ココログ分室

 

続き

l84blog.hatenablog.com