穴があったらこもりたい

スティーヴン・キング『IT(上)』感想

去年かな?2017年のリメイク版が、金ローで放送されていたのを一瞬だけ見て、
ペニーワイズが怖かっこよかったので、ずっと気になっていました。

でもいまだに2017年版も1990年版も見てません。
というかホラーが大の苦手で、見たくても見れない!
TUTAYAで見かけるたびに、迷って結局借りないを繰り返しています。つらい。

なのでまずは原作を読んで、映画に挑む作戦でいくことにしました。

結論:怖がりでもなんとか読めます。(※当社比)
今回は怖がりでも読めた理由とともに、感想を書きます。

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chris_dagorneによるPixabayからの画像

 IT(イット)とは何なのか?ITはITとしか呼びようがない。それほど巨きく、不可思議だ。忘れていた少年の日にもどって、あのおぞましい恐怖を通じて得た愛と勇気を、いま確かめようとする7人。S・キング傑作群中の最大傑作。
(「BOOK」データベースより引用)

内容

1958年アメリカ、メイン州の田舎町デリーで、
子供たちが次々と失踪したり死亡する事件が起きる。
それは子供にしか見えない殺人鬼ピエロ、IT(ペニーワイズ)の仕業だった。

1958年にペニーワイズと戦った7人の子供たちが、
27年後の1985年、再び姿を現したITと対決するため、デリーに集結する。

…というのがあらすじです。

 

構成としては1985年の大人時代(現代)と、1958年の子供時代(過去)が、
平行して交互に描かれています。

なので、大人になった主人公たちがデリーに向かう中、
子供時代に何があったのかが、徐々に明かされていきます。

 

ちなみに私は、この本が大長編小説だと知らなかったので、
図書館で書庫から出してもらったとき、笑いそうになりました。
鈍器かなって。しかも文章二段だし。

上下巻あったけど上巻だけ借りて、その上巻もカバンからはみ出してました。

なのでハードカバーを借りたり買ったりするときは、でかいカバンをおすすめします。
文庫本だと4巻あるみたいです。

 

怖がりでもなんとか読める理由① 登場人物

この小説、めちゃ長いですが、それだけ良いところもあります。
その一つが、登場人物の詳しすぎる描写です。

メインになる7人の仲間たちはもちろん、その家族まで掘り下げられていて、
たまにITのことを忘れそうになるほど、人間ドラマが充実しています。

 

7人の仲間たち「はみだしクラブ」を紹介しておきます。(※子供時代)

 

ビル

よく「どもりのビル」とからかわれる。
はみだしクラブの中ではリーダー的存在で、慕われている。
弟のジョージをITに殺されて、家庭が荒れていて、
なんとか家庭環境が改善されてほしい人物の一人。
ITには恐怖はもちろんあるけど、弟を殺された怒りがあって、
個人的に見ていて一番安心?する。

 

リッチィ

お調子者でよく喋る。眼鏡が特徴。
色々な声真似やジョークが得意。
よく周りから黙らされる。ビービー、リッチィ。

 

エディ

喘息持ちで吸引器が手放せない。
でもそれは過保護すぎる母親のせい。
なんとか家庭環境が改善されてほしい人物の一人。

 

ベヴァリー

はみだしクラブの紅一点。サバサバした性格で美人。
束縛気味の父親から虐待を受けている。
なんとか家庭環境が改善されてほしい人物の一人。

 

ベン

本好きなふとっちょ。よく図書館に行く。ベヴァリーが好き。
7人の中では一番好きな人物なので、いつも一人だったのが、
はみだしクラブで楽しそうにしているのを見て、
なんか、良かったなぁ…!ってなった。(近所のおっさんの気分)
でぶなのは、母親のせいでもある。

 

スタン

ユダヤ人の少年で、几帳面で慎重な性格。綺麗好き。
バードウォッチングが趣味で、目当ての鳥をじっと待つ。
下巻をちらっとネタバレすると、
周りとズレたジョークを言ったりする。かわいい。

 

マイク

黒人の少年。みんなと違う学校に通っている。
一番最後に、はみだしクラブの仲間になる。
大人時代にはみんなデリーにいない中、
唯一デリーに残って、ITがまた現れたら連絡する役目になる。

 

ほかにもこの「はみだしクラブ」を執拗にいじめる、
ヘンリーといういじめっ子率いる不良グループなんかもいます。
(個人的にはIT並みか、それ以上に怖い)

しかしこうしてみると、家庭環境とかいじめとか…
IT関係なく問題多すぎやしませんか…だからこそ7人団結するのかもしれないけど…

 

怖がりでもなんとか読める理由② 世界観&青春

デリーは架空のアメリカの古き良き田舎町なんですが、
日本の田舎県生まれ育ちで、平成生まれな私でも、
なぜか懐かしいと思ってしまうような、ノスタルジックで素敵な雰囲気なんです。

友達と一緒に冒険したり、小さな映画館に行ったり、
駄菓子(たぶんアメリカンな派手なヤツ)を買い食いしたり…

あとビルは、体格に合わないでかい愛用の自転車「シルヴァー」を
全力猛スピードで走らせたり…

子供時代の回想は、青春やら淡い恋心やらで、キラキラしています。
もうキラキラすぎて直視できない。あの頃に戻りたい。(そんな過去はない)

こういう世界観なので、多少怖さが薄れる…ことは決してありませんが、
日本的なホラーが苦手な人は、とっつきやすいかもです。

 

IT(ペニーワイズ)の謎

※ほーんのちょっとだけネタバレかもなので注意

 

 

上巻で分かっているIT(ペニーワイズ)の特徴は以下です。

  • 子供を襲う(食べる?)
  • 子供にしか見えない(特定の人にしか見えない?)
  • 27年ごとに現れる
  • 変幻自在で相手が怖がる姿に化ける(心が読める?)
  • どこにでも(昼間でも)現れる
  • 喋る
  • 超常現象のようなものを起こせる
  • デリーの地下に住む?(デリーの街そのもの?)

ITが何に化けたのか、どんな超常現象を起こしたのかは言いませんが、
意外だったのが、物理攻撃が多少効いたところです。

逆に言うと、そこしか弱点らしきものが今のところ無く、最強、いや最恐です。

 

さらに謎なのが、大人になってデリーから離れている6人(マイク以外)が、
全員仕事などで成功していて、子供のころ(デリーにいたころ)の記憶がありません。
(マイクからの電話、そしてデリーに向かう過程で徐々に思い出す)
そして7人全員子供がおらず、さらにメンバーの一人にとある事件が起こります。

これらの意図はまだわかりませんが、これがITがしたことなら、
デリーの外にも影響を及ぼせる、さらに人の行動や思考、
人生すら操れるかもしれない、ということです。

いやこれ、はみだしクラブ、どうやって倒したん…?
一時的にでも無理では?いや倒せたから大人になってるんだろうけど…

 

まとめ(読めたけどやっぱり怖い)

押し入れの中に何かいるかも…
トイレの中から手が伸びてくるかも…
夜布団から足を出していると引っ張られるかも…
(作者のS・キングも怖がりで、寝るときは両足を毛布でくるむらしい。嘘やろ)
そしてそういうことがあっても、親に気づいてもらえないかも…

子供のころ誰でも考えた恐怖を、もう一度リアルに体感させられるような、
そんな種類の怖さです。(私は子供のころと言わず、今でも思ってますが…)

 

はたして子供時代の7人は、どうやってITを倒した?のか。
大人になった彼らはITと決着をつけられるのか。
てかそもそもITの正体って何なのか。

あとそうそう、作中に意味深にちょくちょく出てくるあの動物は、一体何なのか。

下巻も頑張って読んできます。にしても長い。

 

【追記】下巻の感想です~

l84blog.hatenablog.com