表紙と内容にギャップのある小説4選
人の第一印象は、見た目が55%と聞いたことがあります。
小説だって、大切なのは中身でしょ!っていう人も、
ちょっとは表紙に影響されちゃって、
怖そうとか、読みやすそうとか、無意識に決めつけちゃってませんか?
まぁ…私なんですけど……
そんなわけで、今まで読んだ小説で、私を騙した驚かせた小説を、
いくつか紹介します。もちろん全部面白いですよ!
1 暗いところで待ち合わせ(乙一)
視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった―。書き下ろし小説。
(「BOOK」データベースより引用)
この表紙を見てくださいよ。ホラーですねぇ~。
そしてあらすじも見てください。視力が無い女の子と、逃亡犯の同棲生活ですよ。
怖いですねぇ、ホラーですねぇ~。
いつのまにか口調がホラーマンになってましたが、
表紙もあらすじも、サスペンスな匂いがしてきます。
ところが、読み終えた後のこの気持ちは何ですか。
なにこれ温かい。
シチュエーションはめちゃ怖いですが、
だんだん2人を、静かに見守っているような気分になれる小説です。
そしてしっかりミステリーもあり。
今まで見かけたけど、怖そうだと思って読まなかった方に
是非おすすめしたいです。
……本当は何も知らずに読んでほしいですが、
そしたらこの紹介の記事書く意味無いですね。
ここまで書いといて、何か嫌なことに気づいちゃったけど、
気づいてないことにします。うん。次行こう。
2 イン・ザ・プール(奥田 英朗)
「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。
(「BOOK」データベースより引用)
プールの底に赤ちゃん……
この怪しげな表紙に最初は、難解なミステリーかホラー、
それかシリアスで重ーい話かと思いましたが、まったく真逆。
笑える、頭を使わない、めちゃ読みやすい、おまけに短編集です。
むしろ難解な本に疲れた人におすすめしたい。
というか色々疲れた人におすすめしたい小説です。
いや~この表紙でどれだけの人が勘違いしてきたのやら…
私も本屋さんで何回も見かけたのに、しばらくスルーしてましたからね。
どんな本でもせめてあらすじは見るべきだと、この本に教わりました。
おんなじようなこと書いてますが、良ければこちらもどうぞ↓
3 ムーミンパパ海へいく(トーベ・ヤンソン)
かわいいムーミントロールとやさしいママ、おしゃまなミイにすてきな仲間たち。毎日が平和すぎてものたりないムーミンパパは、ある日一家と海をわたり小島の灯台守になります。海はやさしく、ある時はきびしく一家に接し、パパはそんな海を調べるのにたいへんです。機知とユーモアあふれるムーミン物語。
(「BOOK」データベースより引用)
怖そうなのに…って小説ばかりなので、次は可愛い顔して…な小説です。
ムーミンシリーズは、大人も楽しめる童話ですが、
その中でも「ムーミンパパ海へいく」はヤバいと思います。
パパは周りを巻き込んで空回りするし、ママはノイローゼ気味になるし、
ムーミンは思春期真っ只中だし…。
あのほんわかな雰囲気はどこいったって感じです。
深い。暗い。読みづらい。
ただ、ムーミンの成長していく過程や、
環境が変わっても、まっったくブレないミイは見どころです。
でも、もしこれを読んでパパが嫌いになりかけたら、
「ムーミンパパの思い出」をおすすめします。嫌いにならないで……
ちなみに、この小説にはスナフキンが出てこないので、
スナフキン好き&大人向けが読みたい人は、
「ムーミン谷の十一月」がおすすめです。まさかのムーミン出てこないけど。
4 キノの旅シリーズ(時雨沢 恵一)
「キノはどうして旅を続けているの?」 「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか? ものすごく汚い人間ではないか? なぜだかよく分からないけど、そう感じる時があるんだ……でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なものの様に感じるんだ。とても、愛しく思えるんだよ……。ボクは、それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしている様な気がする」 ―――短編連作の形で綴られる人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。今までにない新感覚ノベルが登場!
(Amazon商品ページより引用)
とにかく表紙が可愛くて綺麗です。「キノの旅」ってタイトルも良いよね。
そして内容はタイトルの通り、キノが色々な国を旅する短編集です。
喋る二輪車と世界を旅してまわる……独特の世界観がとても魅力的です。
ここまでは表紙の印象のままですが、なぜギャップがあるのかというと、
それは、強烈な風刺と皮肉。
どの国もそれぞれの文化・ルール・常識・事情があり、
文体は軽く読めますが、内容は決して軽くないです。
あれこれと考えさせられます。
さらにキノが旅している世界も、全然安全な世界じゃなく、
いつでも死と隣り合わせです。
なので、残酷な場面やちょっとグロい場面もあります。
それでも、キノとエルメス(二輪車)が客観的で冷静、
さらに2人の軽い掛け合いも面白く、読んでいてしんどくなることは無いです。
「表紙アニメっぽいし……」と思っている人も、是非一度読んでみてほしいです。
特に、星新一とか好きな人におすすめです。
以上、表紙と内容にギャップがある小説でした。
人と本は見かけによりませんね。